「たくさんの家族に楽しんで観てもらい、食卓を囲みながら家庭で防災を考え、会話するきっかけになれば」。防災教育の取り組みとして、「防災エンスショ―」を開催する阿部清人さんにお話をうかがった。
3月15日「仙台市の防災教育を推進する実行委員会」は、国連防災世界会議「市民協働と防災」テーマ館で防災教育の取り組みを紹介する。実行委員会は、東日本大震災以降、新しい防災教育の必要性を感じた教員、教育支援NPO団体などで組織される。
阿部さんが行う防災エンスショーは、身近にある物を使った科学実験サイエンスショーに防災教育の要素を取り入れている。子どもから大人まで、観て楽しみながら防災とサイエンスが学べる内容となっている。
防災エンスショーを開催するきっかけとなったのは、2008年母校東北福祉大学の防災力を高めるための委員会に参画したことだ。
委員として防災教育に携わる中、災害発生時、外国人や高齢者に避難方法などの必要な情報が伝わっていないことを知った。また、従来の教育型の防災教育では、市民が防災に興味を持つことが少ない実状に気がつく。興味をもってもらいにくい情報は、生活の中に浸透にくいのだ。
阿部さんは、仙台市泉区を中心放送エリアにしたコミュニティFMラジオ局「fmいずみ」のアナウンサーとして活躍している。コミュニティ放送のアナウンサーとして、地域住民のいのちを守る情報をしっかりと発信し続けなければならない。そんな使命感が阿部さんを突き動かした。また、正確な防災知識を身に付けたいと阿部さんは防災士の資格を取得した。
今まで伝えきれなかった情報に興味をもってもらうためにはどう伝えるか。
模索する中、サイエンスショー観て科学に興味を持つ子供がいるのならば、防災実験をショーとして観せることで防災に興味を持ってもらえるのではないか。そして、考え生み出されたのが、防災エンスショーだった。
以前より工業高校で学んだ科学の知識を活かし開催していたサイエンスショーに、解決の糸口を見出した。サイエンスショーを観て科学に興味を持つ子供もいたからだ。
防災エンスショーの防災教育は楽しめて、面白いと評判がよく全国各地で年間100回以上開催している。「今後も開催を続け、防災意識の向上を推進していきたい」という。
防災エンスショーの一つに、地震のメカニズムを伝える実験がある。棒に吊るされた3つのボールがひとりでに動く実験だ。
実験をみた子どもたちの中には「阿部さんは超能力者なの?」と目を輝かせる子どもがいるという。阿部さんにはものを動かす超能力はないが、防災の大切さを伝え人の心を動かす超能力はあるかも知れない。
【イベント情報】
防災教育の取り組み
「防災エンスショー」と「ドキュメンタリー映画」
3月15日(日) 9:50~12:00(会場9:30)
会場:仙台市市民活動サポートセンター 6階セミナーホール
(記事担当)
市民ライター 山田和佳子